井上章一「名古屋と金シャチ」○井上章一のユニークな仕事の成立過程を検証することも必要だろう。『造られた桂離宮の神話』から始まり、全てとはいか ないが、気になるものは読んできた。近年の「阪神タイガース の正体」「パンツが見える」などは、いよいよもつて、井上の 視点が確立してきていることを示す。社会科学の常識となる、 なにをやるか。なにを言えるか。だけでなく、言う「主体」が、 なんであるか。どういう視点を持つのかを示すこと。である。 こうした視点は、「近代」の前提とされてきた、「普遍」「正 義」などのへの懐疑、反省から始まっている。特に井上の視点 は、それ以上に、<西洋かぶれ>の視点さえ、剥がしてしまう。 二重の<殻>がまとわりついているのが、日本の「知」の状況に 他ならない。事を示すのだ。<アカデミズム>の「殻」が、二番 目のものだ。○井上の本を読んでいると、かれが「嵯峨野」と いう場から生まれた。ことを考えてしまう。これに、詩人か、 歌人の詠む、<光景>をかさねれば、かれは既にこの世のもので はない。(笑) (中) ジャンル別一覧
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