556005 ランダム
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tabaccosen

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井上章一「名古屋と金シャチ」

○井上章一のユニークな仕事の成立過程を検証することも必要
だろう。『造られた桂離宮の神話』から始まり、全てとはいか
ないが、気になるものは読んできた。近年の「阪神タイガース
の正体」「パンツが見える」などは、いよいよもつて、井上の
視点が確立してきていることを示す。社会科学の常識となる、
なにをやるか。なにを言えるか。だけでなく、言う「主体」が、
なんであるか。どういう視点を持つのかを示すこと。である。
こうした視点は、「近代」の前提とされてきた、「普遍」「正
義」などのへの懐疑、反省から始まっている。特に井上の視点
は、それ以上に、<西洋かぶれ>の視点さえ、剥がしてしまう。
二重の<殻>がまとわりついているのが、日本の「知」の状況に
他ならない。事を示すのだ。<アカデミズム>の「殻」が、二番
目のものだ。○井上の本を読んでいると、かれが「嵯峨野」と
いう場から生まれた。ことを考えてしまう。これに、詩人か、
歌人の詠む、<光景>をかさねれば、かれは既にこの世のもので
はない。(笑)
(中)


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